手術のあと

一夜あけて、元の病室にもどった。
セリカはたくさんの管につながれていた。
自動血圧測定器が時間毎に動くたびビクッとした
心臓のモニターもついていたし、点滴も2本はいっていた。
毎日、順に管がとれていった。
心臓のモニターをはずしてもらったときはホッとした。
とりあえず、今すぐどうこうっていうことはないんだなと思った。

術後、もしかして水の流れが悪く水頭症をおこすこともあるかもしれず
そのときは、水をおなかに流す管を入れるシャント手術も必要になると
言われていたが、ありがたいことにそれは大丈夫だった。

傷が痛いのか、気分が悪いのか機嫌が悪くて泣いてばかりだった。
後に他の患者さんから、術後の気持ち悪さをきいた。
廊下を隔てた向こうの病室まで泣き声が届いていたようで、
「かわいそうに、がんばってるんだろうなと思っていたのよ」といわれた。
教授回診のときも、主治医がきても泣いてばかり。
点滴のながい管がゴロゴロ転がって泣くので、ねじれてしまった。
「もう傷は痛くないんじゃないか」と教授に言われたが、
同じ日のガーゼ交換のときにみた傷口はまだまだ痛そうだった。
「痛いですよね・・・?」と主治医とうなづきあった。

術後二週間目にははじめて笑顔が戻った。
傷口の快復もよく、半抜糸、抜糸も順調だった。
抜糸は先生が病室にきてくれたのだが、私が抱っこしていたら
おとなしくされるがままにして、泣いたりもしなかった。
先生が「あ〜、今日の一番大きな仕事が終った!」と笑顔で言われた。

セリカの腫瘍は小脳にあったため、小脳失調といわれる症状がでた。
平衡感覚が悪く、ふらふらして座れない。
術後は目の焦点もあわなかったが、徐々にあうようになった。
寝返りは1週間後、おすわり、はいはいは1ヶ月後。
つかまり立ち、伝い歩き(しっかり両手)は1ヶ月半後。
もう一度、生まれたときから繰り返しているように感じた。

目の焦点があっていない 泣いてばかり

左・91.11.3 目の焦点があっていない。右目は左より、左目は真中に黒目がある。
眼球がふらふら動いていた時期。
右・91.11.4 術後はとにかく泣いてばかりいた。

91.11.10 術後2週間目、初めて笑う

余談だが、この頭にはってるバンソーコーは、手術のときに
頭を固定するためのささえがあたっていた場所で、左右にある。
特に左側はあとが消えずいまだに10円禿げのようにくぼんでいる。
だいぶたってから脳外科受診の際に、
先生にこれは何ですかときかれたくらい・・。
髪でかくれるから助かっているが。

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